私たちは日常生活のなかで、さまざまな場面で物事を考えています。お子さんが宿題に取り組むとき、保護者様が仕事で企画を立てるとき、家族で週末の予定を決めるとき。実は、こうした「考える」という行為にも、いくつかの種類があることをご存知でしょうか。
代表的な思考法として、論理的に筋道を立てて考える「ロジカルシンキング」、創造的なアイデアを生み出す「クリエイティブシンキング」、そして今回ご紹介する「クリティカルシンキング」があります。それぞれに特徴があり、場面に応じて使い分けることで、より良い結果を導き出せます。
とくに変化の激しい現代社会では、情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考える力が重要になっているのです。
クリティカルシンキングとは、物事を批判的に捉え、多角的に分析し、論理的に考える思考法のことです。「批判的思考」と訳されることもありますが、単に否定的に考えることではありません。情報や意見を鵜呑みにせず、「本当にそうなのか?」「ほかの見方はないか?」と疑問を持ち、客観的に検証する考え方を指します。
たとえば、「みんながそう言っているから」という理由だけで信じるのではなく、事実に基づいて判断することがクリティカルシンキングの基本です。子どもたちが「友達がみんな持っているから」という理由でおもちゃをねだったとき、本当に必要なものかどうかを一緒に考えることも、クリティカルシンキングの実践といえるでしょう。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いは、その目的と範囲にあります。ロジカルシンキングが「筋道を立てて考える」ことに対し、クリティカルシンキングは「そもそもの前提や問題設定が正しいか」を疑うところから始まります。
ロジカルシンキングの目的は、与えられた情報を整理し、筋道立てて正しい結論を導き出すことです。混乱した状況を整理し、誰もが納得できる答えを見つけることを重視します。
一方でクリティカルシンキングとは、より良い判断や解決策を見つけることを目的とする思考法です。「本当にこれが最善なのか」「ほかにもっと良い選択肢はないか」と問い続けることで、思い込みにとらわれない新しい発見を目指します。
ロジカルシンキングは、与えられた条件や情報の枠内で考えを進めていきます。問題設定や前提条件は正しいものとして受け入れ、そのなかで最も合理的な答えを導き出すことに集中します。
これに対してクリティカルシンキングとは、その枠を超えて考える思考法です。前提条件や問題設定そのものも検証の対象とし、「そもそもこの問題の立て方は適切か」「見落としている要素はないか」といった視点から考えるのです。
クリティカルシンキングを身につけることで、お子さんも保護者様も日常生活や学習、仕事において多くのメリットを得られます。ここでは、クリティカルシンキングがもたらす5つの具体的な効果について詳しく見ていきましょう。
クリティカルシンキングを実践することで、感情や思い込みに左右されず、事実に基づいた客観的な判断ができるようになります。「みんなが言っているから」「なんとなくそう思うから」という理由ではなく、根拠を持って物事を判断する力が身につきます。
たとえば友達関係のトラブルで、「あの子が悪い」と決めつける前に、「本当にそうなのかな」「相手の立場だったらどう思うかな」と考えられるようになるでしょう。
クリティカルシンキングとは、問題の本質を見抜き、効果的な解決策を見つける力でもあります。表面的な症状だけでなく、「なぜこの問題が起きたのか」という根本原因を探ることで、より確実な解決へと導けるようになるでしょう。
たとえば、算数が苦手な子どもたちに対して、単に「もっと勉強しなさい」ではなく、「計算が苦手なのか、文章題が理解できないのか」と原因を分析できます。多角的に検証することで、最適な解決策を選択できるようになります。
日常生活では、小さなことから大きなことまで、さまざまな意思決定を迫られます。クリティカルシンキングを身につけることで、選択肢を比較検討し、それぞれのメリット・デメリットを客観的に評価する力が養われるため、より質の高い判断ができるようになります。
習い事を選ぶときも、「人気があるから」という理由だけでなく、「興味や適性に合っているか」「将来にどう役立つか」といった多面的な視点から検討できるようになるでしょう。
クリティカルシンキングを実践すると、固定観念にとらわれない新しいアイデアが生まれやすくなります。「こうするものだ」という思い込みから解放され、柔軟な発想ができるようになるのです。
たとえばプログラミング学習では、与えられた課題に対して「別のやり方はないか」「もっと効率的な方法は」と考えることで、独創的なプログラムを作れるようになります。学習だけでなく、日常のあらゆる場面で創造性を発揮する土台となるのです。
クリティカルシンキングとは、根拠をもって考える思考法です。感情や雰囲気に流されず、事実とデータに基づいて判断する習慣が身につくことで、自分の考えに確かな自信を持てるようになります。
子どもたちが発表や議論の場面で、「なぜそう思うのか」を説明できるようになり、堂々と意見を述べられるようになるでしょう。しっかりとした根拠があれば、たとえ反対意見があっても動じることなく、建設的な対話ができるようになります。
クリティカルシンキングは、日常生活でも意識的に練習することで身につけられます。ここでは、お子さんと一緒に実践できる7つの方法をご紹介します。特別な準備は必要ないため、今日から始めていきましょう。
物事を一つの角度からだけでなく、さまざまな立場から見る習慣をつけることが大切です。
家族で何かを決めるとき、「お父さんの立場だったら」「お母さんの立場だったら」「妹の立場だったら」と、それぞれの視点で考えてみましょう。
学校での出来事も、「先生から見たらどうかな」「友達はどう思っているかな」と想像することで、物事の全体像が見えてきます。こうすることで、自然と複数の視点から考える力が身につきます。
日常のあらゆることに「なぜ?」という疑問を持つことは、クリティカルシンキングを鍛える最も簡単な方法です。当たり前だと思っていることにも、理由や背景があることに気づけるようになります。
「なぜ信号は赤・黄・青なの?」「なぜ学校は朝から始まるの?」といった子どもたちの素朴な疑問を大切にしましょう。すぐに答えを教えるのではなく、「どうしてだと思う?」と一緒に考えることで、探究心と思考力が育ちます。
クリティカルシンキングでは、「事実」と「意見」を分けて考えていきます。事実は誰が見ても同じ客観的な情報で、意見は人によって異なる主観的な判断です。
たとえば、「今日の気温は25度だった」は事実ですが、「今日は暑かった」は意見です。お子さんが友達とケンカしたときも、「何があったか」という事実と「どう感じたか」という意見を分けて考える練習をしましょう。気持ちを整理することで、冷静に状況を把握できるようになるはずです。
楽しみながらクリティカルシンキングを鍛えるには、パズルやボードゲームがおすすめです。これらの遊びは、論理的に考え、先を読み、複数の可能性を検討する力を自然に育ててくれます。
数独やクロスワードパズル、将棋や囲碁、推理ゲームなども、年齢に合わせて選べます。大切なのは、答えを出すまでの過程で「なぜこうなるのか」「ほかの方法はないか」と考えることです。間違えても「なぜ間違えたのか」を考えることで、さらに思考力が鍛えられるでしょう。
物語に触れることは、クリティカルシンキングを育てるのに最適な方法です。登場人物の行動や選択について「自分だったらどうするか」と考えることで、思考の幅が広がります。
読書や映画鑑賞のあとは、お子さんと感想を話し合ってみましょう。「主人公のどこが良かった?」「別の終わり方は考えられる?」といった質問で、深く考える習慣が身につきます。同じ作品でも人によって感じ方が違うことを知ることで、多様な価値観があることを学べるでしょう。
インターネットやSNSで情報があふれる現代では、「本当かな?」と疑う力がとても大切です。クリティカルシンキングとは、情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報源かどうかを確認する習慣でもあります。
お子さんには「誰が言っていたの?」「証拠はあるの?」と確認する大切さを教えましょう。ただし、疑いすぎて人を信じられなくなるのは問題です。バランスを保ちながら、健全な批判的思考を育てることが大切になります。
対話は、クリティカルシンキングを鍛える最も身近な方法です。自分の考えを言葉にし、相手の意見を聞くことで、思考が整理され、新しい気づきが生まれます。
夕食時に「今日あったこと」を話すだけでも良い練習になります。お子さんの話を聞くときは、「それでどう思った?」「ほかにどんな方法があったかな?」と質問を投げかけてみましょう。安心して意見を言える環境があってこそ、クリティカルシンキングは育ちます。
ここまで、クリティカルシンキングの意味やロジカルシンキングとの違い、実践するメリット、そして日常生活で鍛える7つの方法をご紹介してきました。「なぜ?」と疑問を持ち、多角的に考え、事実に基づいて判断する力は、お子さんの将来に欠かせません。
プロクラは、プログラミングを通じて「なぜうまくいかないのか」「どうすれば解決できるか」を自分で考える機会が多くあります。マインクラフトの世界で楽しみながら試行錯誤することで、自然とクリティカルシンキングが身についていくのです。
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