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文部科学省が推奨するSTEAM教育|学習効果や現状の課題を解説

目次

子どもの未来を広げるために…話題のSTEAM(スチーム)教育について学ぼう

お子さんの教育に関心を持っている保護者様であれば、一度は「STEAM教育」という単語を聞いたことがあるのではないでしょうか。STEAM教育は、これからの時代に適応できる子どもたちを育成するための教育法・教育方針です。

今回は、文部科学省が推奨するSTEAM教育の意味や目的、STEAM教育が抱えている課題などをご紹介します。STEAM教育とプログラミング学習の関連性も解説していきますので、教育方針や習い事選びに迷っている保護者様はぜひご活用ください。

文部科学省が推奨する「STEAM教育」とは

文部科学省が推奨する「STEAM教育」とは、以下の分野の頭文字から名づけられた教育方針です。

  • Science(科学)
  • Technology(技術)
  • Engineering(工学)
  • Arts(芸術)
  • Mathematics(数学)

上記の5つの分野は、日本の未来を担う子どもたちにとって、特に必要と考えられている教科です。STEAM教育では教科ごとに個別に教育を行うのではなく、各教科同士が影響を与え合う「分野横断的な学び」が求められます。

理系教科や文系教科のように一概に分けるのではなく、各教科を通して総合的な探求力や想像力を養うことが、STEAM教育の目的です。

STEAM教育が推奨される背景

ここでは、文部科学省がSTEAM教育を推奨する背景についてご紹介します。STEAM教育は、1990年代のアメリカにルーツがあります。海外から少し遅れて日本でも注目された背景を知り、実際の教育に落とし込んでいきましょう。

AIやIoTの急速な発達

STEAM教育が求められる背景として、AI(人工知能)やIoT(Internet of Thing)の急速な発達が挙げられます。社会では急速にデジタル化が進んでおり、あらゆるサービスやビジネスにIT技術が取り入れられています。

STEAM教育の目的の一つが、IT人材の育成です。STEAM教育によってデジタル時代に対応できる人材を確保できれば、より革新的なサービスや、時代の変化に応じたアイデアを提案できるでしょう。国内のデジタル人材の育成は、グローバル社会への適応にもつながります。

複雑化するVUCA時代の到来

複雑化するVUCA時代が到来していることも、STEAM教育が求められる理由です。VUCA時代とは、不確実性が高く将来の予測が困難な時代のこと。現代では、急速な技術の発展や社会情勢の変化によって、世の中のニーズやサービスの形は激しく移り変わっています。

型に捉われた発想や従来の知識だけでは、複雑化するVUCA時代に対応できません。STEAM教育では横断的な学習を重要視しているため、異なる知識や思考を組み合わせる力が養われます。その結果、VUCA時代に適応するための対応力が養われます。

クリエイティブな能力のニーズの拡大

日本が海外市場との競争力を維持するためには、クリエイティブな思考力や提案力が必要です。STEAM教育は創造性や発想力を磨く教育でもあるため、独自性の高い価値を創造するための力も身に付くと考えられています。

また情報化・複雑化する社会においては、組織や地域など各コミュニティにおけるイノベーションが求められています。従来の働き方やサービスの形に変化を取り入れるためには、多様な視点から物事を捉えるための力が必要です。STEAM教育で養われる思考力や発想力は、社会を未来に前進させるために欠かせない能力といえるでしょう。

STEAM教育が掲げる5つの目的

ここでは、STEAM教育が掲げる目的を5つご紹介します。STEAM教育の具体的な方法は、各教育機関や家庭によって異なります。しかし最終的なビジョンは同じであり、方向性を見失わなければ、最適な教育方法を導入できるでしょう。

文章や情報を正確に読み解く力を身につける

STEAM教育では、文章や情報を正確に読み解く力が求められます。STEAM教育における分野横断的な学習では、探求力と想像力が育成されます。アウトプットする能力だけではなく、知識や情報をインプットするための理解力や感性が求められるのです。

情報を適切に理解するためには、論理的思考力・情報把握力・語彙力・文章力・空間把握能力など、幅広いスキルが必要です。情報を理解・分析する力を得られれば、あらゆる教科における学習効果が上昇するでしょう。

科学的に思考・活用する力を身につける

STEAM教育では、科学的に思考・活用する力の獲得を目的としています。STEAM教育における科学的思考とは、問題を解決する方法を考える力を指します。問題の本質を理解・分析し、逆算的に解決方法を考える力ともいえるでしょう。

科学的思考の獲得には、感性や想像力のみに頼らない「情報に裏付けされた論理的な思考」が求められます。物事を定量的に把握した上で、順序立てて考える力を養うことで、最短ルートで問題を解決するための力が養われるでしょう。

新しい価値を生み出す感性と力を身につける

STEAM教育の大きな目的の一つが、新しい価値を生み出す感性と力の獲得です。知識や技能などの能力と、感性や想像力などの定性的な要素が強い能力を組み合わせることで、社会に新しい価値を提案できる人材となることができます。

クリエイティビティを発揮するには、センスがあるだけでは困難といえます。自分自身の強み・弱みを理解する力や、アイデアを実際に形にする力、相手のニーズに寄り添って考える力など、幅広いスキルが必要です。これらの能力を総合的に引き出す教育法が、STEAM教育なのです。

AIやデジタル技術を使いこなす人財を育成する

STEAM教育では、AIやデジタル技術を使いこなす人材の育成も目的としています。昨今では、非デジタル領域のビジネスであっても、一定のデジタルリテラシーや知識を求められます。現代社会で自分らしく生きるためには、IT関連の知識や技術の獲得が欠かせません。

STEAM教育におけるIT技術の育成方法として、ICT環境を実際に活用しながらデジタルデバイスを扱ったり、オンライン教材で授業を行ったりなどが挙げられます。学校によっては、プログラミングの専門知識を得られる授業も展開されています。

学習への主体性を養う

STEAM教育では、授業における「生徒のワクワク感」が重要視されていることが特徴です。子どもたちの学習効果を上げるために最も必要な要素として、知的好奇心が挙げられます。子どもたちの興味・関心を高められるような手法で授業を進めるSTEAM教育は、学習への主体性を引き出します。

クラスメイトの中でグループを作って行う授業や、子どもたちが親しみやすいデジタルデバイスや動画を使った授業、フィールドワークなどを通じて、学びの楽しさを感じてもらうことが目的です。

STEAM教育とSTEM教育の違い

STEAM教育と類似する教育方法として、STEM教育が挙げられます。STEM教育とは、STEAM教育から「A(Arts)」の分野を除いて考えられたものです。そもそもSTEAM教育は、STEM教育が変化したものとして広まった考え方です。

分野横断的な学びはSTEM教育でも実現可能ですが、Artsの分野を取り入れることで、感性・想像力・デザイン性・創造性などをさらに引き出せます。芸術教育は、新たな疑問や願望を発見するために求められる分野であり、取り入れることで子どもたちのワクワク感をさらに育みます。

文部科学省のSTEAM教育への取り組み例

STEAM教育は、政府がリーダーシップを担いながら国内で拡大中です。ここでは、文部科学省のSTEAM教育への取り組み例をご紹介します。国が掲げる教育方針を学び、実際の教育現場の状態と照らし合わせてみましょう。

2020年の学習指導要領の改訂

文部科学省は、2020年に小学校の学習指導要領を改訂しました。最新の学習指導要領への改訂では、プログラミング教育の必修化や外国語教育の導入が行われ、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。また知能・思考力・主体性など、STEAM教育で重視される要素が重要視されています。

「総合的な学習(探究)の時間」の開始

最新の学習指導要領では「総合的な学習(探究)の時間」が導入されました。この授業では、教科の垣根を越え、自分らしさや生き方について自らテーマを設定する姿勢が求められます。STEAM教育における分野横断的な学習や主体性を、さらに引き出す取り組みといえるでしょう。

Society 5.0の実現に向けた理数教育の強化

STEAM教育は、来たる新しい社会である「Society 5.0」に適応できる人材の育成も目指しています。最新の学習指導要領では、情報化がさらに進んだSociety 5.0で求められる人材を育成するべく、理数系の教科の学習を推進しています。

SSH(スーパーサイエンスハイスクール)への支援

文部科学省は、科学技術・理数教育・数学教育に関連する研究開発を行う高等学校をSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定しています。SSHには国から支援金が送られ、より高いレベルの理数教育が実現します。

WWL(ワールドワイドラーニング)コンソーシアム構築支援事業

文部科学省は、高度な学びを提供する取り組みとしてWWL(ワールドワイドラーニング)の事業を展開しました。WWLでは先進的なカリキュラムの研究開発・実践をはじめ、国外の大学や国際機関と協力を行いながら、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。

日本国内のSTEAM教育の取り組み例

日本国内では、さまざまな学校がSTEAM教育の導入を開始しています。たとえば東京都の成城学園高等学校は、充実したデジタル環境を実現しました。すべての教室のWi-Fi整備や、生徒の人数分のiPadの配布、Apple TVの活用など、恵まれたICT環境のもとで先進的なSTEAM教育を受けられます。

同じく東京都の聖徳学園中学校・高等学校では、STEAM教育を行うための専門校舎「STEAM棟」を展開。ツールを用いた文章・映像の作成や経営シミュレーションなど、アウトプットを重視したクリエイティブな教育が実践されています。

参考:成城中学校・成城高等学校「ICT機器の活用」

参考:聖徳学園中学校・高等学校「個性と可能性を伸ばすSTEAM」

STEAM教育が抱えている課題

ここでは、日本のSTEAM教育が抱えている課題をご紹介します。STEAM教育の認知と導入は確実に広まっていますが、すべての生徒が良質な教育を受けられているとはいえません。現状の課題を認識した上で、家庭でできるサポートについて考えていきましょう。

ICT教育の環境に差がある

日本のSTEAM教育では、ICT学習の環境に差があることが課題となっています。ICT教育では、タブレットやパソコン、プロジェクターなどのデバイス・機器が求められます。学校によっては、予算やインターネット環境などの観点から、学習に十分な環境を用意できないケースがあるでしょう。

昨今では生徒に1人1台のタブレットを配布する学校も増加傾向にあります。しかしデバイスの紛失・故障時の対応方法が定まっていなかったり、学校や家庭の経済的な負担が増えたりなど、解決するべき問題はまだ多く存在しています。

教員の理解不足

教員の理解不足も、STEAM教育が抱えている課題の一つです。STEAM教育は文部科学省が推奨する教育全体の方針であり、具体的な授業内容は各教育施設に委ねられています。そのため、教員の理解度によっては従来の授業と変わらないような内容になってしまうでしょう。

また昨今では授業のICT化に伴い、多くの学校で授業の方針や方法の変化が求められています。授業を行う意外にも、授業の準備・テストの採点・部活動の顧問など、学校の教師はただでさえ多くの仕事を抱えています。STEAM教育に対応するための十分なリソースが確保できていないことも、大きな課題といえるでしょう。

STEAM教育にプログラミング学習が関連する理由

STEAM教育で重要な要素の一つが「プログラミング的思考の獲得」です。プログラミング的思考とは、論理的思考力の一種です。自分が意図した結果や目標を効率的に実現するために、逆算的に考える力を意味しています。

プログラミング的思考力が高まるほど、STEAM教育の学習効果も高まると考えられています。そしてプログラミング的思考を楽しく身につけられる方法の一つとして注目されているのが、プログラミング学習です。

STEAM教育におけるプログラミング学習が抱えている課題

2020年から小学校でプログラミングが必修化されました。しかし小学校のプログラミング学習の目的は、プログラミング的思考の獲得です。そのため学校によっては、授業内でプログラミングの専門技術には触れられないケースがあります。

またSTEAM教育と同様に、プログラミング教育の内容も学校ごとに差があります。予算不足・教員の理解不足・各家庭との連携不足など、学校でのプログラミング学習はまだ多くの課題を抱えているのです。良質なプログラミング学習のためには、家庭でのサポートが求められるでしょう。

小学生のプログラミング学習をサポートする方法

プログラミング学習を進めることで、STEAM教育の学習効果はさらに向上します。ここでは、小学生のプログラミング学習をサポートする方法をご紹介します。家庭や習い事でプログラミングを学び、お子さんの秘められた能力を引き出していきましょう。

プログラミングスクールへの通学

小学生がプログラミングを学ぶ際は、プログラミングスクールへの通学が推奨されます。保護者様のプログラミングへの理解度が低い場合でも、プロフェッショナルな講師が教えてくれるため、質問環境が整っている点が魅力です。

昨今では自宅にいたまま学習できるオンラインのプログラミングスクールも展開されています。オフラインの場合は同年代の友達が増えることで、コミュニケーション能力の育成にも役立つでしょう。ロボットやゲームなど、子どもたちが親しみやすい教材で学べるのもうれしいポイントです。

アプリやブラウザを使った学習

プログラミング学習の注目度が上がり、アプリやブラウザを使って無料でプログラミングを学べるサービスも数多く展開されています。とくにブラウザ上のサービスは、登録やダウンロードをせずにプログラミングに触れられるため、最初の教材としておすすめです。

有料アプリや、無料アプリ内の有料プランなども展開されているため、まずは金銭的なコストをかけずに触れられるサービスを試してみましょう。お子さんの特性や理解度に合わせて、コストをかけてもよいと思えるサービスを見定めていくと安心です。

サイト構築やゲーム制作など、具体的な目標を設定する

小学生のプログラミング学習に必要なこととして、目標の設定が挙げられます。プログラミング学習に終わりはなく、どんどん新しい技術が登場しています。目標設定は子どもたちのモチベーションを上げるためだけではなく、将来的にやる気を失わせないためにも役立つのです。

たとえばオリジナルゲーム制作やWebサイト構築など、目に見えてわかりやすい目標を設定しましょう。知識に自信がついてきたら、プログラミングに関連する資格取得を目標として掲げるのもおすすめです。

STEAM教育の学習効果を上げる習い事は「プロクラ」

今回は、文部科学省が推奨するSTEAM教育の目的や、家庭でできるサポートなどをご紹介しました。STEAM教育の効果を引き出すためには、子ども向けのプログラミングスクールが推奨されます。そこでおすすめしたいのが、プロクラです。

プロクラでは、子どもたちが大好きなマインクラフトの世界でプログラミングを学べます。「家庭でSTEAM教育を取り入れる方法がわからない」「STEAM教育で子どもの能力を幅広く伸ばしたい」と考えている保護者様は、ぜひこの機会に無料体験や資料請求から始めてみてはいかがでしょうか。

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