プログラミング教育情報

STEAM教育の意味や事例を解説!家でできる学習のアイデアも

STEAM教育を家庭で取り入れる方法はある?

IT化やグローバル化によって、社会は急速に変化しつつあります。変わり続ける社会のニーズに的確に対応するためには、総合的な能力を幅広く育成することが大切です。近年の子ども教育では、横断的な学習を実現するSTEAM教育が重要視されています。

今回は、現代における子ども教育で重要な「STEAM教育」の意味や、国内・海外の事例をご紹介します。また家庭教育でSTEAM教育を導入する方法も紹介していきますので、お子さんの将来の可能性を広げたい保護者様はぜひ参考にしてください。

STEAM教育(スティーム教育)の意味とは

STEAM教育(スティーム教育)とは、1990年代に提唱された教育政策です。国際競争力を高める人財の育成を目的としており、アメリカのオバマ元大統領が演説で触れたことにより世界中で注目され始めました。

STEAM教育は、以下の要素の頭文字を組み合わせた造語です。

  • SCIENCE(科学)
  • TECHNOLOGY(技術)
  • ENGINEERING(工学)
  • ARTS(芸術)
  • MATHEMATICS(数学)

STEAM教育では上記の教科を横断的に学習し、理数教育に創造性教育を加えた形式で行われます。

技術が進化し続ける現代において、社会とテクノロジーはますます密接になっていきます。ITを使いこなせるだけではなく、社会に新しい価値を創造できる人財を育てるためにも、STEAM教育は重要視されているのです。

国内のSTEAM教育の事例

ここでは、日本国内のSTEAM教育の事例をご紹介します。海外からやや遅れながらも、確実に広がり続ける日本のSTEAM教育。先進的な教育方針の学校の様子を学び、家庭教育や習い事選びの参考にしていきましょう。

聖徳学園中学校・高等学校(東京都)

東京都の聖徳学園中学校・高等学校の事例では、STEAM教育を行うための専門校舎が存在しています。ICT技術の修得だけに捉われず、映像製作やツールを用いた文書作成、表計算ソフトを用いたコンビニ経営シミュレーションなど、アウトプット型の教育に力を入れています。

動画による外国語学習や、外国に向けた英語の講義動画作成など、グローバル社会を意識した取り組みも特徴的です。2020年から始まったオンライン授業も高い評価を受けており、対面型の授業にもデジタルテキストを取り入れています。

参考:聖徳学園中学校・高等学校「聖徳学園とSTEAM教育」

鴨川小学校(埼玉県)

埼玉県の鴨川小学校の事例では、バリアフリーをテーマにして取り組んでいます。STEAM教育によって育まれる人財は、多様性に満ちた社会への貢献を期待されているため、自分とは異なる視点に立ったものづくりはまさに的を射た教育といえるでしょう。

生徒たちは実際に車いすに乗って歩行したり、アイマスクを着用して視覚障がい者の世界を体験したりするなどの活動を通じ、多くの困難に直面します。そして円滑で安全な生活のために、プログラミングを活用した支援に取り組みます。創作物を用いながら成果を発表する過程で、グループワークとしての教育も実現可能です。

参考:上尾市鴨川小学校「新しい社会を生き抜く児童の育成」

関西大学初等部(大阪府)

大阪府の関西大学初等部の事例では、教科書では定番の物語『ごんぎつね』をSTEAM化した教材が話題になりました。同作品は経済産業省のSTEAMライブラリーで公開されており、新しい時代のデジタル教材の例として話題を読んでいます。

学習内容は、一般的な『ごんぎつね』の物語から派生したものです。作品内に登場するキツネの心理を心理学の視点から理解したり、登場するキツネの生態を学術的な観点から解釈したりするなど、より幅広い視野や思考の獲得を目指します。

参考:関西大学「初等部制作の新時代教材『STEAM化ごんぎつね』が経済産業省「STEAMライブラリー」に公開」

熊本県立宇土中学・宇土高校(熊本県)

熊本県の熊本県立宇土中学・宇土高校の事例では、2016年からSTEAM教育が導入されています。とくに美術や建築の観点におけるものづくりに力を入れており、数学的な知識を用いた展開図の作成や、環境と調和するデザインの考案など、STEAM教育の前提である横断的な学習が特徴的です。

たとえば10人で1グループをつくり、全長・幅・耐荷力の条件内で、紙製の橋を作成する学習が行われています。生徒たちは土木の専門家や大学の先生などにリサーチし、インフラを支えるものづくりについて学びます。

参考:熊本県立宇土中学校 熊本県立宇土高等学校「STEAM教育実践」

仙台白百合学園小学校(宮城県)

宮城県の仙台白百合学園小学校の事例では、2021年4月から1人1台のiPadを導入しました。導入の目的はオンライン授業の円滑化であり、教材用のアプリを活用することで従来よりも良質な授業が実現できたとのことです。

iPadの実践では、生徒が記入している内容を教師がリアルタイムで把握できるため、表面的な正解・不正解だけではなく「思考のプロセス」を確認できるのです。またICT教育の充実によって、生徒のプログラミング学習もスムーズに進むようになりました。

参考:KDDI「iPadを自由に使ってチャレンジを|仙台白百合学園小学校」

日出学園(千葉県)

千葉県の日出学園の事例では、芸術家、技術・家庭科、情報科、総合探究科それぞれの領域で、科学・技術・工学・芸術・数学に基づいたSTEAM教育が行われています。これらの科は総合して「STEAM科」と名称され、実技教科が中心であることが特徴です。

授業によってはオリジナルの教材を取り入れており、ものづくりや数学的思考を重要視した内容となっています。またパワーポイントやプロジェクターなどの教材を積極的に取り入れることで、テクノロジーとの距離感を縮める授業が実現可能です。

参考:日出学園中学校・高等学校「STEAM教育」

海外のSTEAM教育の事例

ここでは、海外のSTEAM教育の事例をご紹介します。海外のSTEAM教育は、日本よりもさらに先進的なケースも多く存在しています。さまざまな国の事例を学びながら、子どもたちに与える影響について考えていきましょう。

アメリカ

アメリカでは、STEAM教育を国家戦略として宣言しています。なかでも『High Tech High』という学校の事例では、eラーニングやプログラミング教育を積極的に採用しています。学力に限らず、幅広い非認知能力の育成ができる自由度の高いカリキュラムが特徴です。

High Tech Highでは偏差値やテストの点数を上げる授業よりも、意欲や創造性を高めることを目的としており、生徒の一次体験を尊重するメソッドが導入されています。学校によっては、3Ⅾプリンターを活用した風車作成や、NASAのチームに協力してもらいながら宇宙計画を設計する授業なども展開中です。

シンガポール

シンガポールのSTEAM教育の事例では、国力を上げるために『Science Centre Singapore』という施設が展開されています。Science Centre SingaporeはSTEAM教育について多く学習できる施設で、約1,000種類のアクティビティが体験できます。

またシンガポールでは、2017年からアクティブラーニングプログラム(PAL)が導入されました。PALは小学校1・2年生の必修教科で、総合的な人間力の育成や学習全般の質の向上を目的としています。

中国

中国のSTEAM教育の事例では、ロボットやソフトを使いながらプログラミングを学ぶ授業が展開されています。中国のSTEAM教育を牽引しているのは『Makeblock』という教育ロボットメーカーです。

Makeblockは、STEAM教育の領域では知らない人はいないような世界的存在です。遊びの延長線でプログラミングを学べる商品を数多く販売しています。Makeblockのような先進的な企業がリードしながら、国全体のSTEAM教育を進展させています。

イスラエル

イスラエルのSTEAM教育の事例では、IT人財の育成に尽力している点が特徴です。幼少期から高校卒業後まで、一貫してSTEAM教育に力を入れています。小学校入学前からすでにロボット工学や化学を学んでいるのですから、驚きですよね。

またイスラエルでは兵役があります。高校を卒業するまでのプログラミングの成績や、リーダーシップをはじめとする非認知能力によって、赴任先が決まります。実はイスラエルはIT技術やサイバーセキュリティの先進国であり、小学校からハッキングの能力テストも行われるとのことです。

STEAM教育とプログラミングの関係性

STEAM教育では、プログラミング学習が重要な役割を担います。プログラミングは基本的に、STEAM教育における「T=TECHNOLOGY」や「E=ENGINEERING」に該当する学習です。

さらに創造性やデザイン性を学べる「A=ARTS」の要素や、数学的思考力を求められる「N=MATHEMATICS」の要素も含まれています。またプログラミング学習によって得られる論理的思考力・想像力・創造力・問題解決能力などは、STEAM教育の学習効果を上げるために欠かせない力です。

小学校では2020年からプログラミング学習が必修化されましたが、学校で専門的な知識を学べるとは限りません。プログラミングスキルを得るためには、家庭や習い事を通じて学習をサポートしましょう。

家庭でSTEAM教育を取り入れる方法9選

ここでは、家庭でSTEAM教育を取り入れる方法を9つご紹介します。STEAM教育は、座学だけではなくコミュニケーションやアクティビティのなかでも実現できます。家族や友達と楽しみながら、STEAM教育をスタートしてみてくださいね。

フィールドワークによる社会問題への理解

家庭でSTEAM教育を取り入れる際は、フィールドワークを活用しましょう。ゴミ・バリアフリー・交通インフラなど、地域を探検するだけでもさまざまな社会問題が見えてきます。子ども向けの体験スクールでは、SCIENCEに特化したプログラムも展開中です。

科学実験キットや自由研究キットの活用

家庭におけるSTEAM教育では、科学実験キットや自由研究キットが役立ちます。とくに夏休み前には、おもちゃ屋やホームセンターで多種多様な学習キットが売り出されるためぜひチェックしてみましょう。実験や研究の成果をレポートやプレゼン資料としてまとめれば、副次的な学習効果も生み出せます。

アートや音楽を取り入れた表現活動

アートや音楽を取り入れた表現活動も、家庭で導入できるSTEAM教育の一つです。STEAM教育におけるARTSは、創造力や問題解決力を育む分野です。絵画・工作・作曲など、正解が用意されておらず自由に創造性を発揮できる活動にチャレンジしてみましょう。

プログラミングを用いた学習

プログラミングは、幅広い非認知能力を育む学習です。まずは子ども向けのビジュアルプログラミング言語から始めつつ、ゲーム作成やサイト作成などの目標を設定していきましょう。小学生向けの学習アプリや無料ブラウザなども多数展開されています。

自然のなかでの探索活動

STEAM教育では、五感を用いた課外学習が効果的といわれています。自然のなかで探索活動することで、子どもたちは自ら課題や解決方法を考案できるでしょう。キャンプや飯盒炊飯など、ネイチャーアクティビティを主軸とするボーイスカウト活動も推奨されます。

家族内のディベート遊び

STEAM教育には、度々アクティブラーニングが用いられます。なかでもディベートは、論理的思考力・コミュニケーション能力・言語化能力など、幅広い能力を得られる取り組みです。家族でテーマを決めてチームに分かれ、遊びのなかでスキルを磨いていきましょう。

レシピ考案から始めるクッキング

レシピ考案から始めるクッキングは、STEAM教育において重要なプログラミング的思考を獲得できます。料理が食卓に並ぶ状態をゴールとし、必要なタスクを可視化させてプロセスを考えてみましょう。実際に買い物に出かけることで、金銭感覚や社会とのつながりも学べます。

アプリやプリンターを用いた3Dモデリング

小学生向けのSTEAM教育では、3Dモデリング技術も注目されています。3Dプリンターが使用できるコワーキングスペースや図書館などを把握したうえで、実際に設計やものづくりにチャレンジしてみましょう。プリントしなくても、作成した3Dモデルはバーチャル空間に配置できます。

伝統工芸の体験や美術鑑賞など、幅広い一次体験を重ねる

STEAM教育では創造性が高い人財を育成します。アウトプットの力を高めるためには、発想力の土壌となる知識や経験が必要です。家庭教育で幅広い一次体験を重ねることで、クリエイティビティな感性や豊かな情報を得られるでしょう。伝統工芸の体験や美術鑑賞など、バラエティ豊富な体験を与えてあげてくださいね。

STEAM教育に関連する習い事習い事なら「プロクラ」

今回は、STEAM教育の国内・国外の事例や、家庭でSTEAM教育を導入する方法などをご紹介しました。実践事例でもご紹介したように、STEAM教育とプログラミングには密接な関係があります。

小学生向けのプログラミングスクールをお探しの保護者様におすすめしたいのが、プロクラです。プロクラでは、子どもたちが大好きなマインクラフトの世界でプログラミングを学べます。

「学校以外の場所でSTEAM教育を導入してみたい」と考えている保護者様は、ぜひこの機会に無料体験教室や資料請求から始めてみてはいかがでしょうか。

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