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視空間的洞察力とは|空間認識・把握能力が高い子どもの特徴

子どもの視空間的洞察力を鍛える方法はある?

子どもの学習効果を上げるためには、さまざまな能力を複合的に引き出す必要があります。時には、一見すると勉強に無関係な力が思わぬ効果を発揮することも。数学の公式や英単語を暗記するだけではなく、幅広い認知能力・非認知能力にアプローチしていくことが大切です。

中でも昨今注目されている能力の一つが、視空間的洞察力です。今回は、視空間的洞察力や空間認識能力の意味、学習にもたらす効果についてご紹介します。お子さんの視空間的洞察力を楽しみながら育てつつ、教育に役立てていきましょう。

視空間的洞察力とは|空間認識(空間認知)能力との関係

視空間的洞察力を解説するために、視空間認知力と洞察力について説明します。

まず「視空間認知力」とは、目から入った情報を脳で把握する力です。次に「洞察力」とは、目に入った情報から、見えていない情報や物事の本質を考える力です。

そして「視空間的洞察力」とは、目に見える情報の中でも「空間にある情報」を材料とし、見えていない情報について考える力になります。

視空間的洞察力と類似する言葉に、空間認識(空間認知)力があります。空間認識力とは、空間にある物の位置や形などを捉える力です。

空間認識力が高まると、空間や物質に対する解像度が上がるため、視空間的洞察力も向上していきます。空間認識力や視空間的洞察力は、日常生活だけではなく学習でも理解度に影響を与えます。

視空間的パターン推論とは

視空間的洞察力を発揮するために欠かせないプロセスが、視空間的パターン推論です。視空間的パターン推論では、視覚情報を用いた上で、空間上の物体の位置・形状・サイズ・方向などの特性を推論(既知の情報から未知の情報を予測・推理すること)します。

視空間的パターン推論は、私たちの脳が空間を認識するために日常的に行っている動作です。推論のためには双眼・単眼視覚や視点の変化などの情報が用いられ、プロセスのサイクルが早まるほど視空間的洞察力も高まっていきます。

空間認識・空間把握能力が高い子どもの特徴

ここでは、視空間的洞察力に伴った空間認識・空間把握能力が高い子どもの特徴をご紹介します。誰しも、人より少し得意なことや苦手なことがあるものです。個性・特性とひとくくりにするだけではなく、具体的な能力に着目することで、子どもの強みをさらに引き出せるでしょう。

探し物を見つけることが得意

空間認識力が高い子どもは、探し物を見つけることが得意な傾向にあります。空間を観察・分析したうえで、すでに探した場所・まだ探していない場所を認識し、効率的に物を探せます。同じ場所を繰り返し探して時間を無駄にすることがありません。

空間認識力の高さは視空間的洞察力にも影響を与えるため、自然と探しやすい場所以外にも着目できます。探す場所に優先順位をつけられるため、非効率的な探し方をせずに簡単に目的の物を見つけられるでしょう。

人の顔をすぐに覚えられる

人の顔をすぐに覚えられることも、空間認識力が高い子どもの特徴です。人の顔は、まさに空間的な情報の集合体です。空間認識力が高い子どもは、顔のパーツのサイズ・位置・角度・奥行きなどを即座に把握できるため、髪型や服装が変化しても相手の顔を覚えていられます。

空間的な情報に対しての認知能力が高いことから、相手の顔色や体調が悪そうなときもすぐに気づける傾向にあります。人の顔をすぐに覚えられる能力は、社会における評価や成果にもポジティブな影響を与えるでしょう。

障害物につまずいたり、ぶつかったりする機会が少ない

空間認識力が高い子どもは、障害物につまずいたりぶつかったりする機会が少ない傾向にあります。たとえば外を歩いているときに段差や階段を見つけた場合、高さや幅などを瞬時に理解できるため、安全に歩ききれます。

自転車・歩行者・車との距離感をつかみやすいため、接触事故の危険性も少ないでしょう。とくに通学路の交通量が多い場合や、街中や人混みの中を歩く機会が多い場合は、空間認識力が子ども自身を守るための味方になってくれます。

視空間的洞察力が学校生活・学習に役立つシーン

ここでは、視空間的洞察力が学校生活や学習に役立つシーンをご紹介します。視空間的洞察力が活用できる教科は、数学だけではありません。空間と学習の関連性を学び、教育につなげてていきましょう。

教科書や問題文を読み解く

視空間的洞察力は、教科書や問題文を読み解くために役立ちます。テキストには、問題や内容の本質を理解するために重要なキーワードが散りばめられています。

たとえば「たかし君は1,000円を持って、八百屋で1個200円のリンゴを買います。すべてのお金を使い切るためには、リンゴをいくつ買えばいいですか?」という問題があるとしましょう。

ここで大切な情報は「1,000円」「1個200円」「すべてのお金を使い切る」です。問題を解くためには、「たかし君」や「八百屋」「リンゴ」のキーワードは本質的に重要ではありません。

視空間的洞察力は、テキスト内の重要な情報を見つけたり、情報の優先順位をつけたりするための読解力にも影響を与えます。視空間的洞察力が高いほどテキストの全体像を把握しやすく、回答のための思考に移るスピードも早くなるのです。

図形やグラフの問題を理解する

図形やグラフの問題を理解する際にも、視空間的洞察力が発揮されます。図形やグラフの問題では、オブジェクトの配置や、テキストとオブジェクトの関連性を理解する必要があります。

視空間的洞察力は「与えられた空間の情報を読み解き洞察する力」であるため、問題の背後にあるルールやパターンを把握するために役立つでしょう。視空間的洞察力を育成することで、算数だけではなく、理科や物理、社会などの他教科の学習効果も高まります。

球技やダンスがすぐに身につく

視空間的洞察力は、体育の授業や運動系のスポーツでも好影響を与えます。たとえばダンスの授業では、先生の動きや動画の振り付けなどを覚えますよね。視空間的洞察力が高い子どもは、自分や他者の姿勢・位置・動きを正確に認識しやすく、すぐに適切な動作に反映できます。

球技で成果を出すためには、ボールの軌道を予測することが非常に重要です。視空間的洞察力によってボールの速度・速さ・角度などを読み解ければ、状況に応じたプレーができるでしょう。

外国語・数字・音符など、文字や記号を覚えやすい

私たちが普段から触れ合っている「文字」にも、空間的な情報が詰め込まれています。視空間的洞察力が高い子どもは、文字や記号のディティールを読み解く力が強いため、外国語・数字・音符なども覚えやすい傾向にあるでしょう。

とくに外国語の言い回しや数学の規則性などにおいて、一定のパターンが存在している場合は、視空間的洞察力がさらに発揮されます。なぜなら視空間的洞察力は、空間的な情報のパターンやルールを発見する力にも役立つからです。

子どもの視空間的洞察力を鍛える3つのアイデア

ここでは、子どもの視空間的洞察力を鍛えるためのアイデアを3つご紹介します。視空間的洞察力は、日常生活や遊びの中で楽しく鍛えることが可能です。親子のコミュニケーションを通して、子どもの秘められた能力を引き出していきましょう。

パズルゲームを遊びに取り入れる

子どもの視空間的洞察力を鍛えるためには、パズルゲームを遊びに取り入れることをおすすめします。パズルゲームでは、視界に入る多くの情報を同時に理解し、脳内で整理整頓する必要があります。

頭の中で絵柄や色をつなぎ合わせるプロセスを繰り返すことで、空間に存在する情報をまとめる力が身につくでしょう。具体的には、ジグソーパズル・ルービックキューブ・マッチ3パズルなどが挙げられます。

知的なボードゲームで遊ぶ

知的なボードゲームも、視空間的洞察力の育成に役立ちます。とくに将棋・チェス・オセロなど、情報がすべて盤面に開示されているタイプのゲームがおすすめです。他には、麻雀のように相手の捨てた牌(はい)やゲームの全体像を吟味して勝利方法を考えるゲームも、視空間的洞察力が磨かれるでしょう。

トランプゲームであれば、神経衰弱やスピードなどがおすすめ。中でもスピードは、手札・山札・捨て札の状況を即座に判断することが勝利につながるゲームです。

立体的な物体の描画や、立体工作を楽しむ

視空間的洞察力は、立体的な物体の描画や立体工作によっても培われます。たとえば積み木でお城を作るためには、着手前に土台・壁・屋根部分などの全体的な構成を考える必要がありますよね。

脳内で完成系を想像したうえで実行に移し、理想とのギャップを埋めていく作業のなかで、視空間的洞察力を楽しく養えます。奥行きやサイズ感についての理解度を上げるためには、風景画・人物画・静物画も効果的です。

視空間的洞察力を鍛えるために「プログラミング」が推奨される5つの理由

ここでは、視空間的洞察力を鍛えるためにプログラミングが推奨される理由を解説します。小学校では2020年からプログラミング教育が必修化されましたが、学校で視空間的洞察力などのあらゆる能力を十分に鍛えきれるとは限りません。家庭教育や習い事を有効活用しながら、子どもの視空間的洞察力を鍛えていきましょう。

コードの視覚的なレイアウトやデザインを考慮する必要がある

プログラミングでは、コードの視覚的なレイアウトやデザインを考慮する必要があります。プログラミングによってソフトを理想通りに動かすためには、コードの規則性を理解しつつ順番通りに組み合わせていくプロセスが重要です。プログラミング技術の基本であるコードへの理解が深まるほど、視空間的洞察力も養われていきます。

完成品のバランスを見ながら調整する必要がある

プログラミングでは、完成品のバランスを見ながらコードを調整していきます。コード画面と完成品の画面をそれぞれ見比べながら進める中で、別々の空間の情報を相互的に把握する力が身につくでしょう。

デバッグを修正する際に問題を特定する必要がある

プログラミングでは、学習や作業の過程でほぼ必ずバグやエラーが発生します。視空間的洞察力は、膨大な量のコードの中から問題の箇所を特定するために役立ちます。バグの原因となり得るパターンをコード配列から導き出し、具体的な修正方法を提案する過程で、視空間的洞察力が養われていくでしょう。

美しさだけではなく、UIやUXを重視する必要がある

プログラムで構成される成果物では、UI(ユーザーインターフェース)だけではなくUX(ユーザーエクスペリエンス)も重要視されます。見栄えの美しさを担保しつつ、ユーザーにとっての使いやすさを実現するためには、視空間的洞察力が欠かせません。作り手のエゴよりもユーザー目線でのクオリティを優先する過程で、視空間的洞察力が鍛えられます。

コードやパターンを暗記できると作業効率が上がる

プログラミング学習では、コードやパターンを暗記するほどリサーチの時間が短縮され、作業効率が上がっていきます。空間的なパターンを暗記する中で、コードの構造やアルゴリズムが可視化されていくのです。画面という空間に表示された要素に対する解像度が上がると、視空間的洞察力が磨かれていくでしょう。

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今回は、視空間的洞察力の意味や高める方法などをご紹介しました。

視空間的洞察力の育成に効果的なプログラミングは、学習で必要となる他の能力を引き出すためにも役立ちます。たとえば、プログラミングで養われる論理的思考力・創造力・想像力・問題解決能力などは、あらゆる学びに関連性のある能力です。

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