急速に変わる社会の変化に合わせて、学校現場の教育法も大きく変わっています。小学校においてもICT教育のさらなる推進が図られ、タブレット学習は教育の新たな手段として広がっています。
学校におけるタブレット学習の現状を把握しつつ、家庭でもタブレット学習を補うべきか悩む保護者様もいるでしょう。
本記事では、小学生のお子さんがタブレット学習を進める際のポイントやおすすめの学習方法について紹介します。また、家庭で楽しみながらタブレット学習するための工夫についても解説します。
小学校のICT(情報通信技術)教育はメールやSNSなどの利用だけでなく、ITスキルや情報処理能力の向上を視野に入れた教育であり、タブレット学習はその一環です。
小学校では文部科学省が進めるGIGAスクール構想のもと、2020年までに全国の小学生に1人1台のコンピュータ端末配布と高速ネットワークの環境整備が進められました。プログラミング学習の必修化と合わせて、小学生の子どもたちが将来に向けて基本的なITスキルを身につけることを目的としています。
しかし、まだ整備が不足している学校もあるため、早急に環境を整えるとともに、小学生に対するICT教育とタブレット学習の推進が喫緊の課題となっています。
小学生が学校で実践するタブレット学習は、具体的にどのような内容や方法があるのか気になることでしょう。学校におけるタブレット学習の活用法として6つ紹介します。
デジタルドリルは小学生のタブレット学習における一つの学習ツールです。通常の教科書やノートを使った学習方法に比べて、より効率的で個別に合う学習支援が可能な方法として広く活用されています。
小学生は新しい学習単元に取り組む前に、単元の理解度を把握したり基本事項を確認したりできるでしょう。学習後は、繰り返しタブレット学習することで知識やスキルを定着させたうえで、応用問題に挑戦することも可能です。
タブレット学習のなかでも資料動画の視聴は学習効果を高めます。通常の教科書やノートでは絵図や写真でしか情報を得られず、小学生が物事の発生や過程、事物の変化を詳細に理解するのは難しいでしょう。
しかし、タブレット学習でデジタルコンテンツを活用すれば、小学生は視覚的に理解しやすくなります。たとえば、以下のような資料動画が閲覧可能です。
タブレット学習は視覚的な情報を通じて理解を深める際に有益な方法であり、各小学生の学習進度に合わせた学びを支援する手段といえるでしょう。
検索サイトやWeb情報を活用したタブレット学習は、小学生の子どもたちが取り組みやすい学習方法です。適切な資料を探したり必要な情報を抽出したりするのが難しい小学生は、タブレット学習によって調べたり学習の楽しさを見つけたりできる可能性があります。
図書館での調査や学習が得意な子どもたちもタブレット学習を活用すれば、より多様な情報を収集して内容を深く理解することにつながるでしょう。
また、タブレット学習で検索サイトを活用することで効率的に関連情報を収集できるため、短時間で友達と共有したり理解を深めたりする場を生み出せます。
問題のリアルタイムな答え合わせとは、タブレット学習で各小学生に適した問題を提示し、その回答結果にもとづいて学習を進める方法です。
従来の一斉授業では、教員が黒板に書いた問題を小学生が書き写し、一定の時間が経ってから答えを合わせる形式でした。この方法では、理解の差を埋めたり個人に合う学習課題を提供したりするのが困難です。
タブレット学習であれば、小学生の子どもたちはリアルタイムで課題に取り組みながら理解を深めていきます。間違った回答に対しては、個別のフィードバックが得られるため、知識の定着に良い影響を与えるでしょう。
タブレット学習の重要な要素の一つに、ネットワーク機能を生かしたディスカッションがあります。タブレット学習で個々の小学生が端末を持つことで、インターネットを通じた協働学習が可能となります。
たとえば、小学生がディスカッションする際に写真や動画、音声などさまざまなメディアを活用すれば、話し合いの質や内容をより豊かにできるでしょう。また、タブレット学習は遠隔地の小学生との交流も可能にし、物理的な制約を受けずに協働的な学びを深める手段となります。
お絵かきソフトや簡易DTMの創作活動は、小学生のタブレット学習における魅力の一つです。小学生の子どもたちは楽しみながらクリエイティブな活動に取り組むことでしょう。
たとえば、次のような創作活動が可能です。
タブレット学習によって小学生の子どもたちは、絵画における色の変更や修正が可能となります。音楽にタブレット学習を取り入れれば、合唱や演奏のほかオリジナルの音楽制作など創造性を発揮する機会を増やせるでしょう。
小学生が実践するタブレット学習には多くのメリットがあります。ここでは、おもな長所として6つ紹介します。
タブレット学習の魅力は、動画や音声、写真などの多彩なメディアを通じて学習内容をわかりやすく表現できることです。以前までは黒板やテキストが主要な教材でしたが、タブレット学習により以下のような学習が可能になります。
小学生の子どもたちにとってタブレット学習の活用は、学習内容をより深く理解するために適した方法といえるでしょう。
タブレット学習は、一人ひとりの小学生が自身の能力や進捗に合わせて学習できる手段であり、これまでの一斉授業では対応しきれなかった個別支援が可能です。
子どもたちはタブレット学習を通じて、自分のペースに合う学習進度や難易度を選択したり、特定のスキルに重点を置いて学習したりできます。また、タブレット学習はデータ収集や分析が容易であり、各小学生の進捗状況を把握しながら必要な補習ができる点もメリットといえるでしょう。
タブレット学習は、小学生の子どもたちが主体性をもって学習するうえで重要な役割を果たします。
タブレット学習によって主体的な学習が可能になる理由は以下の3点です。
小学生の子どもたちは、タブレット学習を通じて個々に合う問題選択が可能になります。理解できる機会が増えるのは子どもたちの自信につながり、新たな挑戦心を刺激するでしょう。
タブレット学習によって教員の業務が効率化され、負担が大きく軽減されます。従来の学習方法では、テストや宿題の準備、丸つけ、アンケートや成果物の確認などに多くの時間と労力が必要でした。
しかし、タブレット学習を導入することで、さまざまな学習教材や進捗状況を電子形式で簡単に管理できます。小学生の子どもたちから提出されるノートの収集や評価作業が効率的に進められるため、個別のニーズに合わせたフィードバックを迅速に提供できるでしょう。
タブレット学習を通じて、小学生の子どもたちはデジタルデバイスに慣れ、ITリテラシー(情報技術のスキルや知識)を習得できます。具体的には以下の要素が挙げられます。
現代は職場や日常生活において、パソコンやタブレットなどのツールを正しく活用する力が必要です。タブレット学習は、小学生の子どもたちがデジタル社会を生き抜くための基盤を築く重要な手段といえるでしょう。
タブレット学習によって黒板のメモをとる時間が短縮されるのは大きなメリットです。
従来では、教員が黒板に書いた内容を子どもたちが書き写すといったプロセスが一般的でした。しかし、すべての小学生が書き写すまでに時間がかかったり、授業の進行も一時的に止まったりするなどのデメリットがありました。
タブレット学習を導入することで以上の課題が解決されます。メモを取る必要もなくなり、個々の小学生が自分のペースで理解度に合わせたタブレット学習を進められるでしょう。
タブレット学習には多くの長所がありますが、一方で短所も存在します。ここでは、小学生が実践するタブレット学習における4つのデメリットについて解説します。
タブレット学習では、学校や教員によって教育内容に差が生まれるといったデメリットがあります。差が生じる理由として以下の3点が挙げられます。
こうした状況ではタブレット学習を推進しても、一貫性のない授業が生まれるかもしれません。学年やクラスによる格差が広がり、小学生の子どもたちが混乱する可能性もあります。
タブレット学習を進める場合、セキュリティ面でのトラブルが起こる可能性があります。たとえば以下のようなトラブルです。
ネットワークを通じたタブレット学習は、個人情報の漏えいや不正アクセスなどにさらされる可能性があります。また、小学生の子どもたちがインターネット上でのトラブルに巻き込まれるリスクも考慮しなければなりません。
小学生がタブレットで遊んでしまう可能性があることも、タブレット学習のデメリットです。子どもたちが遊んでしまう背景には、遊びと学習の境目があいまいになりやすい点があります。
1人1台の端末が導入される場合、無断でゲームをインストールして授業中に遊び始める小学生がいるかもしれません。一旦やり方を覚えれば扱いやすいタブレット学習は、ときに本来の学習に支障をきたす恐れがあることを念頭におく必要があるでしょう。
タブレット学習を進めるにあたって、故障時や修理時のコストがかかる点もデメリットの一つです。
小学生の子どもたちは、注意していてもうっかり物を壊してしまうかもしれません。しかし、パソコンやタブレットなどの端末は簡単に直せないことが多く、修理や交換には多額の費用がかかる場合もあるでしょう。
学校や家庭が修理代の負担に悩むことも予想されます。とくに多くの小学生がタブレットを使っている場合、頻繁に故障が生じれば費用が膨らむ可能性があります。
保護者様によってはデジタル技術についていけず、小学生がタブレット学習を家庭で実践する際に適切なサポートが受けられない可能性があります。
ITスキルに自信をもつ保護者様であれば、特定の学習支援が可能です。しかし、デジタル技術に慣れていない保護者様は、端末の使い方に関するアドバイスや簡単な問題の解決に苦労する場合があるでしょう。
家庭環境によって子どもたちの学習力や成績に差が生まれる可能性があるため、タブレット学習を推進する場合は公平さや不均衡の是正を図る必要があります。
参考
タブレット学習は学校だけでなく家庭でも活用できる学習方法です。家庭でタブレット学習を進める場合、以下に紹介するポイントにもとづいて適切なタブレットを選択しましょう。
小学生のお子さんにタブレットを選ぶ際は、キッズモード・セーフモードがついているかどうか確認しましょう。キッズモードは子どもたちがタブレット学習する際に安全に使えるための機能で、以下のメリットがあります。
キッズモードを利用すれば、アプリやゲームの利用時間や学習に関係のないコンテンツへのアクセスを制限できます。また、小学生のお子さんが学習に役立つアプリを簡単に見つけられる点も利点の一つです。
タブレット学習を推進する場合、持ち運びのしやすさを追求することは重要なポイントです。小学生のお子さんが使うタブレットを購入する際は、以下の点に考慮しましょう。
小学生の視力は発展途上であるため、ディスプレイ画面のサイズは比較的大きめのものを選択しましょう。また、保護フィルムやケースを装着することで落下時の破損リスクを軽減することも可能です。
小学生が家庭でタブレット学習を進める場合、プログラミングができるタブレット端末を選ぶと良いでしょう。その理由として以下の3点が挙げられます。
学校でも推進されるプログラミング学習を家庭で補えるのと同時に、思考力やクリエイティブな発想など多様な能力を伸ばせます。将来に生かせるスキルを身につけられる点は大きなメリットといえるでしょう。
小学生の子どもたちが、バッテリ―寿命を気にせずにタブレット学習できることは重要なポイントです。学習中や動画視聴などにおいてバッテリーが長持ちするタブレットは、子どもたちの集中力を持続するうえで役立つでしょう。
また、長寿命のバッテリーであれば外出先や旅行中でもタブレット学習を楽しめます。充電回数を減らせるため、バッテリーの寿命そのものを伸ばすことができ、長期的にコストを削減できるでしょう。
タブレットには、Wi-FiモデルとLTEモデルの2つの通信形態があります。
Wi-Fiモデルとは、無線LAN(Wi-Fi)を使用してインターネットに接続するタブレットを指し、自宅や公共施設などWi-Fi環境下での利用に適しています。Wi-Fiモデルは通信料がかからないため、タブレット学習におけるコストを抑えられるでしょう。
一方、LTEモデルは、携帯電話の通信システムを利用できるタブレットです。Wi-Fi環境下ではWi-Fiに接続して利用できますが、外出時にも安定したモバイル通信が可能です。しかし、LTEモデルは通信料が発生するため、ランニングコストが高くなる点に留意しましょう。
小学生に適切なタブレットを選ぶ際は、タブレット学習に必要なストレージ容量やメモリの量を考慮しましょう。
小学生のタブレット学習では、デジタルドリルや動画、アプリなどさまざまなデータを保存します。容量が十分にないとデータ保存に支障をきたしたり、スムーズな動作環境が難しくなったりします。快適にタブレット学習を進めるためには、32GB以上の容量があるタブレットを選ぶようにしましょう。
アフターサービスや保証の充実は、タブレットを購入する際の重要な要素です。とくに小学生がタブレット学習する場合、不注意による落下や水濡れなどが懸念されます。
故障や破損で修理するとなれば、想定外のコストがかかるかもしれません。購入前に次の点を確認しておきましょう。
メーカー保証以外に販売店によっては、独自の保証サービスを付与しているケースもあります。
タブレットやインターネット接続など環境整備を図ったうえで、早速タブレット学習を進めていきましょう。家庭でおこなうタブレット学習として4つの方法を紹介します。
家庭でタブレット学習する場合、デジタル教材を活用する方法があります。デジタル教材は動画やアニメ、ゲームなど多様な形式で学習コンテンツを提供しており、小学生のお子さんが興味をもって取り組みやすい点が特徴です。
デジタル教材を購入する場合は、以下の点を考慮しましょう。
小学生の興味や学習のペースなどに配慮して、継続して学びやすい内容の教材を選びます。無料体験を利用してお子さんが扱いやすいかどうか、料金に見合うタブレット学習が可能かどうかしっかり確かめましょう。
学習チャンネルの動画視聴は、お子さんの興味や関心に合わせてタブレット学習を進めることができ、学習意欲の向上にもつながります。
たとえば、以下のようなタブレット学習が可能です。
学習動画は、学校の授業を補完したり関心のある分野を調べたりする際に活用できます。また、英語に関する学習コンテンツを活用してリスニングやスピーキングのスキルアップを図れるでしょう。
小学生のタブレット学習にプログラミングを掛け合わせれば学習効果が向上します。タブレットでのプログラミング学習のメリットは以下の3つです。
タブレットはパソコンよりもコンパクトかつ軽量であるため、すきま時間でも気軽に学習できるでしょう。さらにビジュアルプログラミングなどの直感的な学習方法が多く、プログラミングの基本を習得したい場合に適しています。
無料やリーズナブルな料金で学べる学習サイトやアプリもあり、予算内でタブレット学習が可能な点もメリットです。
家庭でタブレット学習を進める場合、実際のSNSやブログを活用したリテラシー教育も可能です。たとえば、保護者様が利用するSNSやブログを題材として、情報の取捨選択や批判的思考力を養うことができます。
具体的には以下の方法が考えられます。
親子で一緒に確認したり意見交換したりする過程で、小学生なりに自分が注意すべき点や、SNSやブログ情報の正しい把握の仕方について考えられるでしょう。正しい情報収集を通じて、自分の考えを構築して表現することの大切さも学べます。
小学生のお子さんがタブレット学習を活用して学びを深めるためには、興味をいかに持続させるかが重要なポイントです。
勉強するときだけ使うと、お子さんはタブレットを「勉強するもの」と決め込んでしまうでしょう。勉強以外の目的でも活用することで、タブレットを楽しく使えることが必要です。
タブレット学習を楽しむ方法として、以下の3点を紹介します。
以上の内容を取り入れることで、小学生のお子さんはより楽しくタブレット学習できるようになり、学習意欲の向上にもつながるでしょう。
タブレット学習は、動画や音声、写真などの方法で、小学生にとってわかりやすく一人ひとりの能力や進度に合わせて学習できる点がメリットです。一方で、学校や教員によって学習内容に差が生じたり、セキュリティ面のトラブルが起こったりする場合があります。
デメリットを軽減するために、家庭でもタブレット学習を取り入れましょう。子どもたちの興味や関心に合わせて学習をカスタマイズでき、保護者様のサポートで問題解決力や創造性を向上させられます。
また、ITリテラシーを身につける習い事として「プロクラ」の活用も検討してみてください。プロクラは、プログラミングの基礎から応用までを学べる教室であり、お子さんの学びをより豊かにする方法を採用しています。興味をもたれた保護者様は、体験レッスンの機会をご利用ください。
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