学校生活が本格的に始まると「うちの子、集団行動が苦手なのかもしれない」と感じる場面に出くわすこともあるでしょう。授業や給食、掃除に遠足など小学校では、クラス全体で行動する機会がたくさんあります。
中には、大人数の中でうまくなじめず、集団行動が苦手な子どもたちもいるかもしれません。集団行動が苦手な背景には、さまざまな理由があります。
保護者様としては「ちゃんとしてほしい」と思う一方で、無理に合わせることが逆効果になることも。「なぜ苦手なのか」を知り、子どもたちに合ったサポートが大切です。
そこで今回は、集団行動が苦手な人の特徴と原因、そして乗り越えるためのヒントをくわしくご紹介します。
大人数での集団行動が苦手な人には、いくつかの共通した特徴があります。ここでは代表的な5つのタイプを紹介します。
集団行動が苦手な人の特徴として、常に周囲の目を気にしてしまうことが挙げられます。「変に思われたらどうしよう」「失敗して笑われたらいやだな」などの不安が、その人自身の心を縛ってしまうからです。
たとえば、発表の場面で手を挙げることができない、班での話し合いで黙ってしまうといった行動は、決してだらけているわけではありません。自分の言動に対する「他人の評価」が気になり、行動を起こせないのです。
周囲の人の目が気になる子どもたちは、自信をつけることで少しずつ変化していきます。小さな成功体験を積ませたり、失敗を責めずに受け入れたりすることで、安心できるでしょう。
集団行動が苦手な人は「自分のペースを守りたい」という気持ちが強い傾向にあります。集団生活では、みんなと同じ時間に同じ行動をしなければならない場面が多いため、自分のタイミングで動けないことがストレスになってしまうのです。
たとえば、給食の時間にまだ食べ終わっていないのに次の準備が始まってしまうと、焦ってしまったり、嫌な気持ちになったりすることがあります。また話し合いの場でも、じっくり考えたい子どもたちにとっては、すぐに発言することを求められるのが苦手と感じることも。
人と関わることに疲れやすい点も、集団行動が苦手な人の特徴のひとつです。沢山の人と接する時間が長くなる学校生活では、友だちや先生とのやり取りが続くことで、精神的なエネルギーを消耗しやすくなります。
休み時間も常に誰かといることが求められると「一人になりたい」と感じることもあるでしょう。集団の中では、話しかけられたり笑いあったりすることが当たり前とされていますが、それが苦手な人にとってはプレッシャーになる場合もあります。
集団行動の場面では、話し合いやディスカッションなどで自分の意見を求められることがあります。しかし、自分の考えを言葉にして伝えるのが苦手な人にとっては大きなハードルです。
「間違っていたらどうしよう」「みんなと違うことを言ったら変に思われるかも」といった思いが先に立ってしまい、なかなか言葉が出てきません。とくに、大人数の前で話すことが苦手な人は、話すタイミングを逃したり、発言自体を避けてしまったりするものです。
「みんなで動きましょう」「次はこれをしましょう」など学校では、先生からの指示に従って集団行動する機会が多くあります。しかし、中にはその決められた流れに強い抵抗を感じる子どもたちもいるでしょう。
自分で考えて動きたい、納得してから行動したいタイプの人にとっては、一方的な指示に従うことは苦手かもしれません。また、命令口調に対して敏感に反応してしまう人も。こういった人は、集団行動の中で反発したり黙り込んだりすることがあるため、誤解されやすい傾向にあります。
集団行動が苦手な人には、性格や発達特性、育った環境などさまざまな背景があります。ここでは代表的な原因を3つ紹介します。
内向的な人は、静かに過ごすことやひとりで考えることを好む傾向があります。そのため、大勢と一緒に動く集団行動は、刺激が強すぎたりエネルギーを消耗したりしてしまうのです。
ですが、集団行動が苦手だからといって、性格に問題があるわけではありません。内向的な人には無理に人と関わらせるのではなく、少しずつ慣れていけるような小さな集団活動の機会を作ることが効果的です。
静かな場所で力を発揮できる子どもも多いので、子どもたちに合った環境を整えてあげることが大切です。
HSPやASD傾向のある人は感覚的な刺激に敏感であるため、集団行動に大きなストレスを感じやすい傾向にあります。たとえば、大きな音や人の多さ、話し合いのざわつきや急な予定変更などが苦手で、心身が疲れやすいのです。
集団行動の中ではこうした特性が「協調性がない」「空気が読めない」と誤解されがちですが、本人はできる限り合わせようと努力していることも少なくありません。家庭や学校が子どもたちの苦手を理解し、過ごしやすい環境を整えることで、集団行動に少しずつ慣れていくことができます。
集団行動が苦手な人の背景には、家庭での経験や育ち方が関係していることがあります。たとえば、兄弟がいなかったり集団生活の経験が少なかったりすると、他人と関わること自体が不安になるものです。
また、過干渉や過保護などで常に保護者様が先回りしていた環境だと、自分で判断して行動する力が育ちにくく、集団の中で戸惑ってしまうことも。反対に、愛着形成がうまくいかなかった場合も、人と関わること自体が不安になることがあります。
学校生活では、日常の中に自然と集団行動が組み込まれています。ここでは、とくに子どもたちが戸惑いやすい5つのパターンを紹介します。
グループでの話し合いや協力作業は、授業の中でも頻繁に登場します。集団行動が苦手な人にとっては、自分の意見を言うことや、ほかの人と足並みをそろえることにストレスを感じやすいものです。
とくにリーダータイプの人が多い班では、自分の考えを言い出しにくいケースもあるでしょう。グループ活動では、役割分担や話し合いの進め方によって、集団行動が得意な人と苦手な人の温度差が大きくなることも。
そのため、先生や大人のサポートで、誰もが安心して参加できる雰囲気作りが大切です。
体育の授業や運動会ではルールに従い、チームとして動くことが求められます。集団行動が苦手な人にとっては、人前で運動や声を出すことに強いプレッシャーを感じる傾向です。
とくに、大人数の競技やリレーなどでは「足を引っ張ってはいけない」という不安が強く、楽しめない人もいます。また苦手な種目があると、参加自体を拒否したくなることも。運動会は集団の中で協力する大切な行事ですが、一人ひとりの気持ちやペースにも配慮が必要です。
掃除当番や給食当番も、毎日の集団行動のひとつです。時間内に協力して作業を終えることが求められますが、人と手を取り合って進めることが苦手な人にとっては、気疲れの原因になりがちです。
「誰と組むのか」「自分のやり方が否定されないか」など小さなことでも不安に感じてしまいます。また、きっちりやらない人と一緒にいると、イライラしたり無力感を抱いてしまったりすることも。
このような場面でも、子どもたちの特性に応じて役割やペースを調整し、できたという実感を持たせることが大切です。
社会見学や遠足は、学校の外での集団行動の代表例です。バスの中での座席やグループごとの移動、見学中のルールなど、多くの場面で「みんなと同じように行動すること」が求められます。
集団行動が苦手な人にとっては、知らない場所で大人数と行動することが大きな負担となります。いつもと違う環境、急な予定変更、班内での人間関係など、気を張る場面が多く、帰宅後にはぐったりしてしまうことも。
そんなときは、あらかじめ流れを説明したり、安心できる大人が側にいたりすることで、少しずつ慣れていくことができます。
修学旅行は、数日間にわたって集団行動が続くイベントです。友だちと同じ部屋で過ごす、決まった時間に行動する、集団で移動するなどそのすべてが、集団行動が苦手な人にとって大きな挑戦となります。
とくに、夜の時間やお風呂など、プライベートな空間が減ることがストレスになることも。修学旅行を前に不安を感じている場合は、家庭で事前にシミュレーションしたり、先生に相談したりして、できる範囲で調整してもらうのもひとつの方法です。
小学校は、学力だけでなく集団行動を学ぶ場所でもあります。子どもたちは日々の学校生活を通して、協力することや相手の意見を聞くこと、ルールを守ることなど社会性を少しずつ身につけていきます。
もちろん、すべての子どもたちが集団行動を得意としているわけではありません。苦手な人には苦手な人なりのペースややり方があります。それでも「できた」という小さな成功の積み重ねが自信へとつながっていくでしょう。
大切なのは、子どもたちに合ったサポートの仕方。小学校は集団行動のスタートラインであり、個性を尊重しながら社会性を育てる場なのです。
集団行動が苦手な人が、無理なくその壁を超えていくためには、少しずつ慣れていくことが大切です。ここでは、乗り越えるための具体的なヒントを5つご紹介します。
「みんなと仲良くしなさい」という言葉が、かえってプレッシャーになっている人もいます。集団行動が苦手な人にとっては、誰とでも親しくなることが苦痛であり、それができない自分を責めてしまう原因になることも。
大切なのは、自然と関係が深まる相手との関係を大切にすること。無理に仲良くなろうとする必要はありません。ひとりの時間を楽しんでもいいし、少人数で落ち着ける相手がいるだけで十分です。
集団行動が苦手な人にとって、まずは少人数の中で関係を築くことが大きな支えとなります。3〜4人のグループや一対一の関係から始めることで、人とつながる安心感を得ることができるのです。
少人数なら、相手の顔がよく見え、会話のテンポも自分のペースに合わせられるはず。安心して話せる環境があることで、集団行動の中でも「この子と一緒なら大丈夫」と思えるようになります。
いきなり大勢に慣れさせようとせず、少人数の関係性を大切に育んでいきましょう。
集団行動が苦手なことは、悪いわけでも劣ってるわけでもありません。まずは「自分は人との関わりに疲れやすいタイプなんだ」と受け入れることが乗り越えるための第一歩です。
お子さんが「どうして自分だけこんなに疲れるんだろう」と感じているときは「それは性格だから大丈夫だよ」と声をかけてあげましょう。自分を責める気持ちが強いと、集団行動がますます嫌いになってしまいます。
集団行動の場面に不安を感じやすい人には、あらかじめ「どんなことがあるのか」「どう行動すればいいのか」を伝えておくことがとても効果的です。
たとえば、遠足の集合や移動の流れを絵や図にして伝える、授業中の話し合いでどんな発言ができそうか一緒に考えるなど、イメージトレーニングを通して見通しを持たせてあげましょう。
頭の中で準備できていれば実際の場面でも不安が減り、集団行動の中で自分のペースを保ちやすくなります。
集団行動の中で居心地のよさを感じるためには「自分にもできることがある」という感覚がとても大切です。そのためには、子どもたちに合った役割を持たせることが効果的です。
配布係、記録係、進行係など、小さなことで構いません。自分の役割があることで、集団の中に「自分の居場所」が生まれます。役割を通して、ほかの子どもたちとの関わりも自然に広がるでしょう。
「誰かのために役に立てた」という体験が、集団行動に対する前向きな気持ちを育ててくれるのです。
集団行動が苦手なお子さんにとって、家庭は安心できる場所であることが大切です。ここでは、保護者様ができる具体的なサポート方法を4つ紹介します。
学校での集団行動に疲れて帰ってきたとき、お子さんが安心して「ほっとできる」と感じられる家庭は、心の支えになります。無理に話をさせようとせず「頑張ったね」と優しく迎えてあげましょう。
集団行動が苦手な人は、毎日小さなストレスを積み重ねています。そのストレスを癒せる家庭があることで「また明日も行こう」と思えるエネルギーが湧いてくるのです。
ただ「みんなと同じように行動しなさい」と伝えるのではなく「なぜそうするのか」を一緒に考えてあげることが重要です。集団行動には目的があり、ルールには理由があります。
たとえば「給食当番を交代でやるのは、みんなで協力することを学ぶため」と伝えるだけで、お子さんは納得しやすくなるはずです。理解することで、苦手な集団行動にも「意味があるんだ」と思えるようになり、前向きに取り組むきっかけになります。
「みんなはできてるのにどうしてできないの?」と否定的な言葉をかけられると、お子さんはますます集団行動が苦手になってしまいます。大切なのは、お子さんの感じている苦手を受け止めることです。
「そう感じるのは普通のこと」「少しずつできるようになっていけば大丈夫」と声をかけてあげましょう。苦手を否定せず、少しずつ前に進めるよう手助けしてあげることが、お子さんの心の支えになります。
友だちを増やそうと無理にグループに入ったり、集団の中で積極的に行動しようとしたりすることは、かえって逆効果になる可能性があります。集団行動が苦手な人は、自分のペースで人と関わることが大切です。
まずは、少人数の関わりから始めたり、好きな遊びや活動を通じて自然と人とつながったりする経験を大切にしましょう。無理させず、お子さん自身が「楽しい」と感じられる関わり方を見つけていくことが、集団行動を乗り越える近道になります。
集団行動は学校だけで学ぶものではありません。むしろ、学校以外の場のほうが自分のペースで安心して学べることも多いのです。たとえば、習い事には少人数制の教室もあれば、大人数で活動するものもあります。
子どもたちに合ったスタイルを選べば、無理なく集団行動に慣れていくことができます。「学校では苦手だけど、習い事では楽しそうにしている」という人も少なくありません。好きなことに集中しながら、結果的に集団行動に慣れて自然とステップアップできるのが、学校以外の学びの場の魅力です。
ここでは、集団行動が苦手な人でも楽しく参加しやすい、おすすめの習い事を紹介します。少しずつ人と関わりながら、達成感や安心感を得られるものばかりです。
音楽に合わせて体を動かすダンス教室は、言葉を交わさなくても自然に「仲間」としてつながれる習い事です。振付を一緒に覚えたり発表会に向けて練習したりと、楽しさの中で集団行動の経験が積めます。
個人の表現も大切にされるので「みんなと同じことをしなくちゃいけない」というプレッシャーが少なく、自分のペースで取り組みやすいのが魅力。最初はひとりで動いていても、気付けば周りと自然に息があってくる感覚も楽しめるようになります。
キャンプや野外活動など自然体験教室では、非日常の中で仲間と協力する機会が豊富にあります。テントの設営や火起こし、山登りなどひとりではできないことに挑戦することで、自然と集団行動が身につきます。
静かな環境や広い自然の中にいることで、感覚過敏気味の子どもたちも落ち着いて過ごしやすく、集団の中でも安心できる時間が作りやすいのが特徴です。大人のサポートも多く、初めてでも安心して参加することができます。
スイミングは、基本的に個人競技でありながらも、同じグループで練習することが多いため、集団の中で個人の頑張りを大切にできる習い事です。泳ぐことに集中する時間が多く、人間関係のストレスも少ないのが大きなメリット。
また、習熟度ごとにクラス分けされることが多いため、自分のレベルに合った環境で安心して学べます。水の中でリラックスしながら、少しずつ集団行動の感覚を身につけていくことができるでしょう。
ひとりで黙々と作業に取り組みながらも、ときにはチームで課題に挑戦するというバランスが魅力のプログラミング・ロボット教室は、集団行動が苦手な人にぴったりです。論理的思考や創造力を育てながら、「仲間と協力する場面」に自然と触れていくことができます。
人との関わりを強制されず、でも孤立しない。そんな居心地のよさが集団行動への抵抗感を和らげてくれるはずです。
今回は、集団行動が苦手な人の特徴と原因、そして乗り越えるためのヒントをくわしくご紹介しました。「ひとりでも楽しめるけど、仲間と一緒だともっと楽しい」そんな成功体験を積むことができるのが「プロクラ」。
プロクラは、プログラミング初心者でも無理なく学べるカリキュラムとサポート体制が整っているため、プログラミングを学びながら、自分のペースでプログラムを組みながら、ときには仲間と協力して作品を完成させることができます。
ぜひこの機会に、無料体験や資料請求からスタートしてみてはいかがでしょうか。
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