最近、文章や絵、そしてコンピューターのプログラムまで自動で作れる「生成AI」というものがすごい勢いで進化しています。ニュースなどで見聞きした保護者の方もいるかもしれません。このAIの登場で、「もしかしたら、子どもたちが将来プログラミングを勉強する必要はなくなるのでは?」という疑問を持つ方もいるようです。このレポートでは、AIがプログラミングの世界にどんな影響を与えているのか、そして、これからの時代に子どもたちがプログラミングを学ぶことの重要性について、わかりやすく解説します。
AIは、プログラマーがコードを書くのを手伝ってくれる便利な道具として、すでに使われ始めています 。例えば、AIは、よく使う基本的なコードを自動で書いたり、間違っている部分を教えてくれたりします 。会社によっては、AIのおかげで仕事の効率が上がったという報告もあります 。
これは、AIがプロのプログラマーの仕事をより早く、より効率的にするのに役立っているということです。しかし、AIはあくまでもアシスタントであり、まだ全てを自分自身でできるわけではありません。
AIは、複雑な問題を解決したり、私たち人間が思いつかないような新しいアイデアを生み出すのは、まだ得意ではありません 。大きなプログラム全体を理解したり、特別な要望に応じたプログラムを作るのは、人間のプログラマーの仕事です 。研究者によると、最新のAIでも、人間の助けなしでは、普通のプログラマーが解決できるような問題のほんの一部しか解決できないそうです 。AIは、過去のデータから学習しているので、全く新しいものを生み出すのは難しいのです 。また、AIが作ったコードには間違いが含まれていることもあるので、人間の目で確認する必要があります 。
つまり、AIはまだ、複雑な問題を理解したり、新しいアイデアを考えたり、間違いがないか自分で判断したりすることは難しいということです。
AIが作ったプログラムでも、最終的にきちんと動くかどうかを確認し、間違いを直すのは、経験豊富な人間のプログラマーです 。もしAIが作ったコードに間違いがあったとしても、それを見つけて直すには、プログラミングの基本的な知識が必要になります 。
これは、AIをうまく使うためには、ある程度のプログラミングの知識が必要だということです。AIが作ったものが本当に正しいのかどうかを判断するためには、プログラミングの基礎を理解している必要があるのです。
AIの機能 | できること | まだ難しいこと |
コードの作成 | 簡単なプログラムや、よく使うコードの一部を自動で作れる | 複雑なプログラム全体を考えたり、新しいアイデアを生み出したりすること |
仕事の効率化 | プログラマーの作業時間を短縮したり、間違いを減らしたりするのを助ける | プログラムが本当に正しいか、安全かなどを自分で判断すること |
間違い探し | プログラムの間違いを見つけて、修正案を出す | 人間が見てもわかりにくい複雑な間違いを見つけること |
AIが進化すれば、今まで人間がやっていたような、簡単で繰り返しの多いプログラミングの作業は、AIが代わりにできるようになるかもしれません 。AIは、プログラムの説明を書いたり、間違いがないかテストしたりすることも得意になるかもしれません 。
これは、特にプログラミングを始めたばかりの人にとっては、仕事の内容が変わってくる可能性があるということです。
AIが簡単な作業を代わりにやってくれるようになれば、人間のプログラマーは、プログラム全体の設計や、どんな機能が必要かを考えたり、プロジェクトを管理したりといった、より重要な仕事に集中できるようになるかもしれません 。
これは、プログラミングの知識が不要になるということではなく、むしろ、AIをうまく使いこなして、より良いプログラムを作るために、プログラミングの知識がさらに重要になるということです。
AIがコードを簡単に作れるようになれば、今までプログラミングを知らなかった人でも、自分の作りたいものに合わせて、ある程度のプログラムを作れるようになるかもしれません 。
AIのおかげで、プログラミングはより多くの人にとって身近なものになるかもしれませんが、複雑でしっかりとしたプログラムを作るには、やはりプログラミングの基本的な知識が必要です。AIに指示を出すにしても、どんな指示を出せば良いのかを理解するためには、プログラミングの知識があった方が有利です。
AIはコードを書くことはできますが、そのコードがなぜそう書かれているのか、どんな目的で動いているのかといった、根本的な理由は理解していません 。AIが作ったコードがきちんと動くか、安全か、そして本当に作りたいものになっているかを確かめるためには、プログラミングの基本的な考え方を理解していることが大切です 。
プログラミングを学ぶことは、単にコードの書き方を覚えるだけでなく、論理的に考えたり、問題を解決したりする力を養うことにつながります。これらの力は、AIが作ったコードを使う上でも、とても重要になります。
AIが作ったプログラムでも、時間が経てば、間違いを直したり、新しい機能を追加したりする必要があります。プログラミングの基本的な知識を持っているプログラマーは、そのような作業をきちんと行うために必要です 。AIが作ったコードには、人間の専門家でないと見つけられないような小さなミスや、セキュリティ上の弱点が含まれている可能性もあります。
どんなに優れたAIが作ったプログラムでも、長く使い続けるためには、それを理解し、手直しできる人間のプログラマーが必要なのです。
AIにプログラムを作ってもらうためには、どんなプログラムを作ってほしいのかを、はっきりと正確に伝える必要があります 。AIにうまく指示を出すためには、プログラミングの基本的な考え方を理解していることが重要になります 。
プログラミングを学ぶことで、AIに対して、より具体的で的確な指示を出すことができるようになり、その結果、より良いプログラムを作ってもらうことができるようになります。
AIがコードの一部を作ってくれるようになると、プログラマーは、そもそもどんな問題なのかを明確にしたり、どんな機能が必要なのかを考えたり、プログラム全体の設計をしたりすることに、より多くの時間を使うようになるでしょう 9。
これは、AIに「何を作るか」を正確に伝える能力が、これまで以上に重要になるということです。
AIがたくさんのコードを作るようになると、人間のプログラマーが、そのコードに間違いがないか、きちんと動くかをチェックする役割が、ますます重要になります 。
AIが作ったコードの品質を保証するためには、分析力や批判的に考える力、そしてプログラムのテスト方法やセキュリティに関する知識が不可欠です。
AIの進化は、AIそのものを開発したり、AIに関する倫理的な問題を考えたりするような、新しい仕事の機会も生み出しています 。AIのツールを開発したり、メンテナンスしたりするためには、AIや機械学習の専門知識を持ったプログラマーが必要になります 。
AIの登場によって、プログラマーには、これまでとは違う新しい専門分野で活躍する道も開かれています。
今までのプログラマーの役割 | AI時代のプログラマーの役割 | AI時代に必要なスキル |
主にコードを書く | AIが作ったコードを管理する | どんな問題なのかを明確にする、必要な機能を考える、プログラム全体の設計をする |
自分でコードを書くことに重点 | AIと協力して仕事をする | 作られたコードをチェックする、テストする、品質を保証する |
プログラミングの幅広い知識 | AIに関する専門知識 | 機械学習、AI倫理、データ分析など |
これからのプログラミング教育は、単にコードの書き方を覚えるだけでなく、コンピューターの基本的な仕組みや考え方、問題を解決する力、そして批判的に考える力を養うことに、より重点を置くべきです 2。プログラムの基本的な構造や、効率の良い方法を理解することは、AIのツールを使いこなし、その結果を評価するために不可欠です 。
AIがコードを書ける時代だからこそ、「何を」コーディングするのかだけでなく、「なぜ」そして「どのように」コーディングするのかを理解することが、子どもたちにとってますます重要になります。
学校の先生は、AIのコード作成ツールを、子どもたちの学習を助けるための道具として、効果的に使う方法を教えるべきです 。これには、AIにうまく指示を出す方法、AIが作ったコードを評価する方法、そして間違いを直したり改良したりする方法などが含まれます 。
AIツールをプログラミング学習に取り入れることで、子どもたちは、自分に合ったペースで学習を進めたり、難しい作業をAIに手伝ってもらったりしながら、実際のプログラマーの仕事に近い経験を積むことができます。ただし、AIに頼りすぎることなく、基礎的な知識をしっかりと身につけることが大切です 1。
プログラミング教育では、AIを使う際に気をつけなければならないこと、例えば、AIが作ったものに偏りがないか、セキュリティ上の問題はないか、著作権はどうなるのかといった倫理的な問題についても学ぶ必要があります 。AIを正しく、責任ある方法で使うことを子どもたちに教えることは、これからの社会でとても重要になります 。
AIが社会にますます浸透していく中で、子どもたちがAIの倫理的な側面を理解し、責任ある使い方を学ぶことは、将来のために非常に重要です。
生成AIはプログラミングの世界を大きく変えていますが、近い将来、プログラミング学習が不要になる可能性は低いと考えられます。
AIは、プログラマーの仕事を助け、効率を上げるための強力なツールですが、まだ人間の代わりにはなれません。
複雑な問題を解決したり、新しいアイデアを生み出したりするには、人間の力が必要です。
プログラムの基本的な仕組みを理解し、間違いを直したり、AIに指示を出したりするためには、プログラミングの基礎知識が不可欠です。
プログラマーの役割は変わってきていますが、プログラミングの基本的な考え方と、それを使いこなす人間の力は、これからもずっと必要とされます。
プログラミング教育は、基礎をしっかり教え、AIツールを効果的に活用する方法を教え、AIを使う上でのルールや責任についても教えるように変わっていく必要があります。
プログラミングを学ぶことは、単にコードを書くことではなく、問題を解決する力や論理的に考える力を養うことです。これらの力は、AIがどんなに進化しても、私たち人間にとって非常に価値のあるものです。
AIの登場は、プログラミングスキルの終わりではなく、進化を意味します。プログラミングの仕事の内容は変わるかもしれませんが、基本的な考え方と人間の専門知識の必要性は変わりません。変化に対応し、学び続ける子どもたちが、AI時代のプログラミングの世界で活躍できるでしょう。